■抗がん作用のある食品成分 |
食べ物に、発ガンの原因があることは、さまざまな研究で明らかになっております。
しかし、一方では発ガンを抑えるはたらきを持っているのも事実です。
食べ物に含まれている発ガン抑制物質には、活性酸素による酸化を防ぐ、いわゆる抗酸化作用をもつ抗酸化物質があります。
それ以外にも、遺伝子が傷つくのを防ぐ働きをもつクロロフィル(葉緑素)や、発ガン物質を体外に排出するのを助け、善玉の腸内細菌をふやす働きをもつ食物繊維、上皮細胞の粘膜を正常に保つビタミンAなどがあります。
食べ物のもつ力が、癌の予防に大きな効果をもたらしているのです。
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■抗酸化物質とは |
私たちの身体には本来、身体に有害な活性酸素による酸化から、身を守るために酸化を防ぐ抗酸化酵素(SOD)があります。
しかし、それだけでは活性酸素の害を防ぎきれません。そのため、食べ物から抗酸化物質を摂り入れる必要があるのです。
抗酸化物質には、カロテン類、ポリフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、イオウ化合物がなどがあります。
抗酸化作用とは、活性酸素の発生を抑制する働きと、活性酸素を消去する働き、酸化によって傷ついた細胞を修復する働きの3つに分けられます。
また、抗酸化物質は発ガン抑制物質としても働くことがわかっています。
発ガン物質のより、癌が発生する最初の段階で、発ガン物質が遺伝子に入り込むのを防いだり、さらに、発ガン物質を細胞から追い出す働きを強めたり、細胞の異常増殖を防いだりします。
また、もともと身体がもっている、遺伝子の傷を修復する力も強めることがわかっています。
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■抗酸化物質の種類 |
抗酸化物質は、別名、抗酸化スカベンジャーなどと呼ばれ、3つの種類があります。
【酵素】
体内でつくられるもので、活性酸素の働きを抑制します。SOD(スーパーオキシドジスムスターゼ)、カタラーゼなどがあります。
SODは活性酸素のなかでも、スーパーオキシドを抑える働きをもっています。スーパーオキシドは体内の活動エネルギーをつくるときにできる活性酸素なので、量も多く毒性も強いのですが、SODには、この活性酸素を抑えてくれる働きがあります。
【ビタミン類】
ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB群です。抗酸化作用のあるビタミンの中でもビタミンB群には、特に生活習慣病の予防などに効果があります。
ビタミンB群は、体内で酵素を助ける補助酵素として働きます。そのため、体内のさまざまな機能に関わっています。
ビタミンB1は疲労回復に効果があり、B2は動脈硬化の予防、B6はアレルギーに効果があります。さらに葉酸には心臓病の予防、ニコチン酸は中性脂肪やコレステロールの値を下げる効果があります。
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■抗酸化物質がふくまれる身近な食べ物 |
身体の酸化を抑えてくれる抗酸化物質は、とても身近な食べ物に含まれています。
抗酸化力が強いビタミンCは、キウイフルーツやイチゴ、みかん、レモンなどの果物に多く含まれています。ビタミンCは余分に摂っても身体から排泄されるので毎日とる必要があります。
ビタミンEは、うなぎやごま油、アーモンド、オリーブなどに多く含まれています。
緑黄色野菜に多く含まれるカロテン類は、いくつかの種類がありますが、β-カロテンはにんじんやほうれん草、ニラ、かぼちゃに多く、リコピンはトマトやスイカに多く含まれています。
ポリフェノール類もたくさんの種類があり、癌の予防のほかにも動脈硬化の予防にもなります。ポリフェノール類は、赤ワインや緑茶、ゴマ、チョコレート、ショウガなどの食品に含まれています。
イオウ化合物はキャベツなどのアブラナ科の野菜、にんにくやタマネギなどのネギ科の野菜に含まれます。
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■癌を予防する成分 |
抗酸化物質以外にも、抗がん作用がある成分はたくさんあります。
【食物繊維】
まずは、食物繊維です。以前なら栄養素としての価値を見出せない時期がありましたが、現在では抗がん作用のある物質として取り上げられてる重要な食品です。
食物繊維は、人の消化酵素では消化できない成分なので便の量をふやし腸の中で移動しやすくなるため排泄を容易にする働きがあります。
腸内の善玉菌を増やす作用は良く知られており、便秘を予防します。そのため発ガン物質を体外にすみやかに排出し、大腸がんを予防する働きがあります。
また、血糖値、血圧、血中総コレステロールを下げる働きも確認されています。
【テルペン類】
テルペン類とは、柑橘類の特有の香りや苦味の成分です。数種類あり、発ガン物質を無毒化する機能を高めたり、発ガン遺伝子の働きを抑制する作用があります。
【クロロフィル(葉緑素)】
緑色植物の光合成に必要な緑色の色素で、遺伝子が傷つくのを防ぐ働きがあるといわれています。
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■癌の予防に和食を |
毎日の食事に和食をとり入れることは、癌を予防する一番の近道になります。
欧米型の食事の害が叫ばれだして随分になります。日本人の食生活は、今では肉類を中心とした脂肪系に偏りやすく、また統計的に、野菜きらいな方が多いため食物繊維の摂取量が少なくなりがちです。
そのため、7〜8年前に多くみられた胃がんは減少傾向にあるものの、欧米人に多い大腸がんや乳がんは増加しています。
ただし、最近の研究では、胃がんの減少傾向は、胃がん検診で早期発見が普及したことにより数字的に少なくなっているとの見方もあります。
つまり、全体的な癌予備軍は依然として高い水準にあるといえるでしょう。
現在、欧米では低脂肪で食物繊維を豊富にとれる和食が注目されています。
主食である米だけでなく、おかずの魚や煮物も摂取エネルギーを低く抑えることができ、味噌や納豆などの大豆加工品は、がん抑制物質を多く含んでいることで有名になりました。
タンパク質、脂肪、炭水化物のバランスがよく、穀類や野菜をたくさん食べることができる和食は理想的な食事として、世界的に高い評価を得ています。 |